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親水セラとは——いまの「親水コート」とは別のコーティングです。塗り替えの下塗り材が変わります
家を建てたときの資料に「親水セラ」と書いてあった方へ。ケイミュー(KMEW)の外壁材に使われていたコーティングの名前です。
ここが混乱のもとです。「親水セラ」と、いまケイミューが売っている「親水コート」は、同じものではありません。塗料メーカーが公表している一覧表では、親水セラは表層が「無機系」で2009年〜2017年の終売品、いまの親水コートは表層が「アクリル系」——別の行に分けて書かれています。推奨される下塗り材も違います。
そして「親水なのに汚れる」という不満の答えは、どちらにも共通するメーカーの注記にあります。効くのは排気ガス・埃・砂塵で、錆やカビ・苔・藻には十分な効果を発揮しないと明記されています。(2026年9月9日確認)
このページの内容全17項目
- まず、名前の話を片付けます
- 「親水セラ」と「親水コート」は、別のコーティングです
- 仕組み——「分解」はせず、「浮かせて流す」だけです
- ここが本題——効かないものが明記されています
- 「窓サッシ下」に専用部材がある、という事実
- 「親水パワーコート」とは何が違うのか
- 「一般地域用」と「寒冷地域用」——自分の家がどちらか
- ケイミューが外壁材に置いている5つの軸
- 汚れが気になったら、洗っていいと書いてあります
- 塗り替えのとき、下塗り材が変わります
- 耐用年数は何年か——メーカーは年数を書かず、帯で示しています
- 40年・15年という数字は、親水コートの話ではありません
- 光セラとの差は、1㎡あたり1,700〜1,900円ほどです
- いま親水コートの家に住んでいる方が、確かめる順番
- よくある質問
- 参考にした情報
- あわせて読みたい
親水セラは塗料ではなく、外壁材に工場でかけられたコーティングです。塗り替えのときに選ぶ塗料そのもの(樹脂のグレードと値段の並び)は塗料の種類と違いを先にご覧ください。
まず、名前の話を片付けます
「親水セラ」で検索すると、親水セラ・親水パワーセラ・親水コート・親水パワーコート——似た名前がいくつも出てきます。ここで手が止まる方が多いはずです。
現在のケイミュー公式サイトの構成はこうなっています。
| 階層 | 名前 |
|---|---|
| カテゴリ | 親水コート |
| 製品 | ネオロック・親水16(一般地域用/寒冷地域用) |
| エクセレージ・親水15(一般地域用) | |
| エクセレージ・親水16[1時間準耐火構造対応商品](一般地域用) | |
| エクセレージ・親水14(一般地域用) | |
| セラディール・親水14(一般地域用/寒冷地域用) | |
| フィルテクトN・親水16[1時間準耐火構造対応商品](一般地域用/寒冷地域用) | |
| フィルテクトE・親水16[1時間準耐火構造対応商品](一般地域用/寒冷地域用) |
数字は板の厚み(ミリ)です。14mm・15mm・16mmの3種類。厚いほうが彫りを深くできるので、見た目の立体感が変わります。そして「一般地域用」と「寒冷地域用」が分かれている製品があります。凍害への対応が違うので、寒い地域の方は自分の家がどちらかを確認する意味があります。
つまりいまの商品ラインアップに「親水セラ」はありません。ただし、これは「呼び方が変わっただけ」ではありません。中身の違う、別のコーティングです。ここを取り違えると、塗り替えのときに困ります。次の章で分けます。
そして名前だけでは製品を特定できません。塗り替えの相談をするときは、新築時の仕様書か、外壁材のカタログの型番を出したほうが早いです。手元に無ければ、建てた会社に問い合わせれば残っていることがあります。
「親水セラ」と「親水コート」は、別のコーティングです
塗料メーカーの株式会社アステックペイントが、ケイミューのコーティング材を一覧にして公表しています(2024年10月8日公開・同社技術開発本部長の監修記事)。塗装会社から「光セラなどのコーティングに塗装する場合の塗装仕様を教えてください」という問い合わせが増えたため、という説明が付いています。
| 区分 | コーティング材 | コーティング表層 | 発売時期 |
|---|---|---|---|
| 販売中 | 光セラ | 光触媒系 | 2002年〜 |
| 光セラ+防藻 | 光触媒系 | 2018年〜 | |
| 親水パワーコート | アクリルシリコン系 | 2012年〜 | |
| 親水コート | アクリル系 | 14mm厚:2014年〜/15mm・16mm厚:2016年6月〜 | |
| 終売 | 親水セラ | 無機系 | 2009年〜2017年 |
| セラミックコート | 無機系 | 1999年〜2010年 |
親水セラと親水コートが、別の行に置かれています。表層も違います。「セラ」が付くほうは無機系で、すでに終売です。
ケイミュー自身の資料にも、同じ線が引かれています。
- ケイミューは施工事例コンテストに「セラ(光セラ・親水セラ)部門賞」という部門を置いていました(2015年)。光セラと親水セラが、同じ「セラ」の枠に入っています
- ケイミューの施設事例(2016年7月初掲載)では、ネオロック・親水セラをこう説明しています。「優れた耐候性で色あせしにくく、雨が汚れを洗い流す親水コートにより、手間なく美しい外観を長期間維持」——耐候性の層と、親水コートの、二つで説明されています
つまり親水セラは「親水コート」に、色あせを防ぐセラミックコートを重ねたものだった、と読めます。いま「親水コート」として売られているものに、色あせを防ぐという説明は付いていません(後述の5つの軸で確認できます)。
お手元の資料に「親水セラ」と書いてあるなら、2009年から2017年のあいだに建った家です。いま築9年から17年ほど。ちょうど1回目の塗り替えを考える時期に当たります。そして、そこで効いてくるのが表層の違いです。塗り替えの下塗り材のところで戻ってきます。
仕組み——「分解」はせず、「浮かせて流す」だけです
メーカーの説明はこうです。
親水コートの表層は水になじみやすい親水基に覆われています。雨が降れば、親水基が汚れとの間に雨水を入り込みやすくするため、壁に付着した汚れが浮き上がり、雨水と一緒に洗い流します。
要点は「汚れと壁の間に水を入れて、浮かせて流す」ということです。汚れそのものに働きかけるわけではありません。
ここが光セラとの決定的な違いです。光セラは光触媒で、太陽の力で汚れを分解して付着力を弱めてから、雨水で洗い流す——という二段構えになっています。
| 機能(メーカー公式の記載) | 親水コート | 光セラ |
|---|---|---|
| 汚れを洗い流す | あり | あり |
| 汚れを分解する | 記載なし | あり(太陽の力で分解し付着力を弱める) |
| 色あせに強い | 記載なし | あり |
| 抗ウイルス・抗菌 | 記載なし | あり(光触媒から発生する活性種) |
| 空気をキレイに | 記載なし | あり(排気ガスなどの有害物を無害化) |
親水コートは「洗い流す」の一点に絞った製品だと分かります。だから安い。そしてできることも限られます。
ここが本題——効かないものが明記されています
ケイミューは「汚れを洗い流す」のページに、注記を置いています。これが「親水なのに汚れる」への答えです。
ネオロック・親水/エクセレージ・親水/フィルテクト・親水/セラディール・親水の防汚効果は、弊社従来品と比較し排気ガスや埃、砂塵に対して効果を発揮しますが、多量に供給される環境下では効果が発揮されない場合があります。なお、錆やカビ・苔・藻の発生に対しては十分な洗浄効果は発揮されません。特に汚れが集中しやすい窓サッシ下には、ツタワンD・ツタワンDUやロングツタワンDのご使用をおすすめいたします。
読み解くと、3つのことが書いてあります。
| 書いてあること | 意味 |
|---|---|
| 効くのは排気ガス・埃・砂塵 | 空気中を漂って壁に付く、乾いた汚れ |
| 錆・カビ・苔・藻には十分な効果を発揮しない | 生き物と金属由来の汚れは対象外。北面や日陰の緑の汚れは、この機能では落ちません |
| 多量に供給される環境下では効果が出ない場合がある | 幹線道路沿い、工場の近く、砂ぼこりの多い場所などは、能力を超えることがある |
「親水セラにしたのに北側が緑になった」というのは、製品の不良ではありません。もともとカビ・苔・藻は対象外だとメーカーが書いています。期待の置きどころが違っていた、ということです。
そして窓サッシ下の筋汚れも、メーカー自身が「汚れが集中しやすい」と認めています。だから水切り部材(ツタワンD・ツタワンDU・ロングツタワンD)を勧めている。親水コートでも窓下は汚れる前提です。
雨が当たらない面では、この機能は働きません
もうひとつ、メーカー自身が言っている前提があります。ケイミューの開発担当者は、自社サイトの記事(2024年5月23日公開)でこう説明しています。
『親水コート』『親水パワーコート』は親水性が高い=水と混ざりやすいため外壁と汚れの間に雨が入り込み、汚れを浮き上がらせて雨水と一緒に洗い流してくれるメカニズムです。ただし、雨が降らなければ汚れに対してアクションを起こすことはありません。
雨で流す仕組みなので、雨がかからない面は、そもそも洗われません。軒の下、庇の下、バルコニーの内側、玄関ポーチの天井まわり——このあたりだけが黒ずんでいる家は多いはずです。
汚れが「上より下」ではなく「雨の当たる面より、当たらない面」に集まっているなら、それは製品の性能ではなく、雨の当たり方の問題です。この面は自然には落ちないので、洗うか、塗り替えのときにまとめて手を入れることになります。
ついでに、なぜ水を弾く(撥水)のではなく、なじませる(親水)なのか。同じ記事に答えがあります。
自動車のコーティング剤に撥水性が求められるのは、車は走ることによって風で水分を飛ばせるからなんです。動かない建物の場合、中途半端に撥水性を持たせると、かえって汚れの原因となる油を引き寄せてしまう性質があります。
同じ記事は、換気ダクトの下が黒い筋になるのは「排出された空気に含まれる油分が集まって汚れた現象」だと説明しています。外壁の汚れは、思っているより油の話だということです。
「窓サッシ下」に専用部材がある、という事実
メーカーが勧めているツタワンD・ツタワンDU・ロングツタワンDは、窓の下端に付ける水切りの部材です。名前のとおり「伝わん(伝わらない)」——窓まわりを流れた水を、外壁の面に伝わせずに落とすためのものです。
ここから読み取れることが2つあります。
- ①窓下の筋汚れは、塗料や外壁材の性能では防ぎきれない——だから部材で水の流れ自体を変える。親水コートでも光セラでも、この点は同じです
- ②新築時に付いていなければ、あとから付けることも検討できる——塗り替えで足場を組むタイミングは、その数少ない機会です
窓下の黒い筋が気になっている方は、見積もりを取るときに「窓サッシ下の水切り部材は付けられますか」と聞いてみてください。塗り替えのついでに検討できるかどうかは、会社によって答えが変わります。塗るだけで終わらせる会社と、汚れの原因まで手を入れる会社がいます。
「親水パワーコート」とは何が違うのか
もうひとつ紛らわしい名前があります。親水パワーコート(古い呼び名は親水パワーセラ)です。新築の打ち合わせで、親水コートと並べて提示された方も多いはずです。
結論から書きます。汚れを落とす力は同じです。
ケイミューは「汚れを洗い流す」というページを、親水コート用と親水パワーコート用に別々に置いています。ところが中身を並べると、しくみの説明も、注記も、同じ文面です。効くのは排気ガス・埃・砂塵。錆やカビ・苔・藻には十分な洗浄効果は発揮されない。窓サッシ下にはツタワンD等をすすめる。親水パワーコートでも、カビや苔は落ちません。
違うのは色あせの側です。親水パワーコートだけが「色あせしにくい」というページを持っていて、こう書かれています。
有機クリヤー塗装の中でも、優れた耐候性をもったパワーコート。着色層の上に施した一部無機含有の「アクリルシリコンクリヤー塗装」が着色層をしっかり保護。色あせが少なく、メンテナンスの際の塗り替えの手間が減らせます。
ケイミューの開発担当者の言い方だと、こうなります。
性能のグレードで言うと『親水コート』は業界標準クラス。そのワンランク上が『親水パワーコート』。そして最高グレードが光触媒コートを使用している『光セラ』シリーズです。
| 親水コート | 親水パワーコート | 光セラ | |
|---|---|---|---|
| 汚れを洗い流す | あり | あり(説明文は親水コートと同じ) | あり+太陽の力で分解 |
| 色あせを防ぐ | 記載なし | あり | あり |
| 表層(塗料メーカーの分類) | アクリル系 | アクリルシリコン系 | 光触媒系 |
| 使われているシリーズ | ネオロック16/エクセレージ16・15・14/セラディール14/フィルテクトN・E16 | セラディール16・18 | レジェール/ネオロック18/フラットデザインパネル/エクセレージ16・15/フィルテクトN16 |
シリーズの対応は、ケイミューの記事に載っているラインアップ一覧(2024年4月現在)と、公式サイトの現行ページ(2026年9月9日確認)を突き合わせたものです。ラインアップは改訂されるので、手元の資料の名前でご確認ください。
見分け方はシリーズ名です。親水パワーコートが使われているのは「セラディール」の16mm厚と18mm厚。手元の資料に「セラディール・親水パワーコート16」とあれば、それです。「セラディール・親水14」なら、同じセラディールでも親水コートのほうになります。
そしてもう一行、親水パワーコートのページには見落としやすい注記があります。
親水パワーコート外壁材の現場仕上げ塗料(補修塗料)には、親水機能はありません。
工事中に付いた傷や、切り欠いた小口をタッチアップした部分には、親水の働きがないということです。その部分だけ、年数が経つと汚れ方が変わる可能性があります。「ここだけ色が違う」という相談の一部は、これで説明が付きます。
「一般地域用」と「寒冷地域用」——自分の家がどちらか
親水コートのラインアップを見ると、製品によって「一般地域用」だけのものと、「一般地域用/寒冷地域用」の両方があるものに分かれています。
| 製品 | 地域区分 |
|---|---|
| ネオロック・親水16 | 一般地域用/寒冷地域用 |
| エクセレージ・親水15 | 一般地域用 |
| エクセレージ・親水16 | 一般地域用 |
| エクセレージ・親水14 | 一般地域用 |
| セラディール・親水14 | 一般地域用/寒冷地域用 |
| フィルテクトN・親水16 | 一般地域用/寒冷地域用 |
| フィルテクトE・親水16 | 一般地域用/寒冷地域用 |
窯業系サイディングは水を含みます。含んだ水が凍って膨らむと、板が割れたり表面が剥がれたりします。これが凍害です。寒冷地域用は、そこへの対応が違います。
塗り替えのときに関係してくるのは、この「水を含む」という性質のほうです。塗膜が切れて水を吸うようになると、寒い地域では冬に傷みが進みます。「まだ見た目は平気だから」で先送りできる年数が、地域によって変わるということです。
三重・愛知・岐阜でも、山沿いと平野部では冬の冷え込みが違います。自分の家がどちらの区分かは新築時の仕様書で分かりますが、現地を見てもらうときに「凍害の跡はありますか」と聞くのが早いです。板の小口や下端が欠けていれば、そこから話が進みます。
ケイミューが外壁材に置いている5つの軸
メーカーは外壁材の性能を5つに分けて説明しています。親水コートがどこに位置するかを見ると、製品の性格が分かります。
| 軸 | 中身 | 親水コートの位置 |
|---|---|---|
| キレイな外壁 | 汚れをセルフクリーニング/色あせを防ぐ | ここに属する(ただしセルフクリーニングのみ。色あせは光セラの領域) |
| 外壁で魅せる | 豊富な色柄ラインナップ、彫りの深さによる陰影 | 板の厚み(14〜16mm)で変わる |
| 外壁でまもる | 地震などの災害から暮らしを守る | 1時間準耐火構造対応商品がある |
| 外壁で心地よく | 断熱・遮音など | — |
| 環境に優しく | — | — |
そして「キレイな外壁」の説明には、こう書かれています。「光セラ」は、将来の塗り替え・張り替えなどにかかる費用が少なくて済み、ライフサイクルコストが断然おトク——と。
メーカー自身が、光セラと他を分けて書いています。親水コートはその「他」の側です。だから「ケイミューだから長持ち」ではなく、「どのグレードか」で話が変わります。
汚れが気になったら、洗っていいと書いてあります
同じ注記の続きに、こうあります。
汚れが気になる場合は、中性洗剤とスポンジを使って水洗いすることでも汚れを落とすことが可能です。
メーカーが自分で洗うことを認めています。これは知っておく価値があります。「セルフクリーニングだから触ってはいけない」わけではありません。
ただし高圧洗浄機は別の話です。中性洗剤とスポンジ、と書いてあります。高圧の水を当てると、板の表面を傷めることや、目地や窓まわりから水が入ることがあります。手の届く範囲を、やわらかいスポンジで——というのが公式の言い方です。
手が届かない高さや、洗っても落ちない汚れ(=カビ・苔・藻の可能性)なら、そこから先は業者の仕事になります。何社かに現地を見てもらって、洗って済むのか、塗り替えの時期なのかを判断してもらってください。この2つは費用の桁が違うので、先に切り分ける意味があります。
塗り替えのとき、下塗り材が変わります
ここが、このページでいちばんお金に直結する話です。
先ほどのアステックペイントの記事には、コーティング材ごとの推奨下塗材まで載っています。同社の製品名で書かれた一覧ですが、どのコーティングが同じ扱いで、どれが別扱いなのかが見えます。
| コーティング材 | 表層 | 推奨下塗材(同社製品) | クリヤー仕上げ |
|---|---|---|---|
| 光セラ/光セラ+防藻 | 光触媒系 | プレミアムSSシーラープライマー(白)/エポプレミアムシーラープライマーJY(白) | 不可 |
| 親水パワーコート | アクリルシリコン系 | エポパワーシーラー/エピテックフィラーAEⅡ など | スーパーSDクリヤー(Si/F/無機) |
| 親水コート | アクリル系 | エポパワーシーラー/エピテックフィラーAEⅡ など | スーパーSDクリヤー(Si/F/無機) |
| 親水セラ(終売) | 無機系 | プレミアムSSシーラープライマー(白・透明)/エポプレミアムシーラープライマーJY(白・透明) | スーパーSDクリヤー F-JYのみ |
| セラミックコート(終売) | 無機系 | プレミアムSSシーラープライマー(白・透明)/エポプレミアムシーラープライマーJY(白・透明) | スーパーSDクリヤー F-JYのみ |
読み方は簡単です。いまの親水コートと、終売の親水セラでは、勧められている下塗り材が違います。親水セラは、光セラと同じ側に置かれています。
同じ記事は、塗り替えで手のかかる塗膜を「難付着系塗膜(フッ素・無機・光触媒)」と定義しています。親水セラの表層は、この表で無機系です。難付着サイディングという言葉で呼ばれる側に入る、ということになります。
なぜそこまで気にするのか。同じ記事が、光触媒の場合の失敗をこう書いています。一般的な下塗材を塗ると「付着性が著しく悪い・光触媒反応による下塗材の分解」が起きて、数年後には塗膜剥離を引き起こす可能性が高くなる、と。数年で剥がれれば、塗り替え代がもう一度かかります。
そして、こう書き添えてあります。
外壁材の見た目でだけでは、難付着系塗膜かどうかの判別が困難です。
見て分からないなら、資料で伝えるしかありません。覚える必要があるのは製品名ではなく、一言だけです。
「外壁はケイミューです。資料には親水セラ(または親水コート)と書いてあります。建てたのは◯年です。」
この3つを伝えたうえで、下塗りに何を使うかを何社かに聞き比べてください。製品名で答える会社と、「専用のものを使います」で終わる会社に分かれます。前者は実際に調べています。上の表はアステックペイント1社の推奨なので、他社の塗料を使う会社は別の製品名を答えます。名前が違うことは問題ではありません。答えられるかどうかを見てください。
ついでに、色を変えずに透明の塗料で仕上げる「クリヤー塗装」を考えている方へ。上の表の右端です。光セラは不可、親水コートと親水パワーコートは可、終売の親水セラは1種類のみ——と分かれています。ここも先に確認しておくと、話が早く進みます。
耐用年数は何年か——メーカーは年数を書かず、帯で示しています
「親水セラの耐用年数は?」は、よく検索されている問いです。ところがケイミューは「◯年」という数字を出していません。代わりに出しているのが、商品ごとのメンテナンススケジュール表です。
ケイミューのサイトには「維持管理(点検&メンテナンス)について」というPDFがあり、表紙に「お施主様へ」「重要書類」と書かれています。本来は家を建てたときに渡されているものです。ここに、5年から40年までの目盛りが引かれた表があります。
年数を書かない理由も、そのPDFに書いてあります。
窯業系サイディングの耐用年数(耐久性)は、太陽光(紫外線)、風雨、雪、気温の変化等の気象条件や、台風、地震などの自然現象、メンテナンスの実施度合いにより、大きく影響を受けます。
そのうえで、商品ごとに「塗り替え」の帯が何本、どこに引かれているかが違います。当サイトで4種類のPDFを並べて数えました。
| PDFの対象商品 | 塗り替えの帯 | 1本目が重なる目盛り | 交換(張替え)の帯 |
|---|---|---|---|
| 親水14(エクセレージ/セラディールの14mm厚) | 3本 | 10年 | 30年 |
| 親水16/15(ネオロック16mm・エクセレージ16/15mm・フィルテクトN/E16mm) | 2本 | 15年 | 30年 |
| 親水パワーコート18/16(セラディール) | 2本 | 15〜20年 | 30年 |
| 光セラ16/15 | 1本 | 30年 | 30年 |
| 光セラ18・フラットデザインパネル・レジェール | 1本(30年から40年へ伸びる帯) | 30年 | 35〜40年 |
帯はグラデーションで描かれていて、メーカーは年数を数字で書いていません。上の「目盛り」は、当サイトが図の帯の位置を読み取ったものです。親水コート系と親水パワーコートのPDFは2025年2月現在、光セラのPDFは2026年2月現在の版です。
ここから読めることが3つあります。
①同じ「親水コート」でも、14mm厚だけ塗り替えの帯が1本多い。板の厚みは見た目(彫りの深さ)の話だと思われがちですが、メーカーのスケジュールでは塗り替えの回数そのものが違います。手元の資料が「エクセレージ・親水14」「セラディール・親水14」なら、この段です。
②親水パワーコートは、帯が後ろにずれる。色あせを防ぐ層がある分(前の章)、塗り替えを後ろに倒せる、という設計だと読めます。汚れの性能は同じで、差が出るのはここです。
③この表の前提は「アクリルシリコン塗料」です。PDFにはっきり「塗り替えについては、一般的なアクリルシリコン塗料を使用した場合を想定」と書かれています。次に塗る塗料をフッ素や無機にすれば、この間隔は変わります。逆にもっと安い塗料なら、短くなります。
あわせて、メーカーが書いている但し書きも読んでおいてください。
条件によって劣化の進行状況が異なりますので、あくまでも目安です。内容を保証するものではありません。
本体より先に来るのが、目地のシーリングです。表では「スーパーKMEWシール30」が使われている商品で、30年のところに交換(打ち替え)の帯が引かれ、その前に補修の帯が並んでいます。外壁材が何年もっても、目地のほうが先に切れます。
点検についても、具体的に書かれています。「点検は建物の外壁を目視にて確認出来る範囲で1年に1回程度点検してください。(高所作業は厳禁です。)」そして「特に地震や台風などのあとにも点検をするようにお願いします」。定期点検の印は5年ごとに置かれています。
安全についても、メーカーは強い言い方をしています。
お施主様自身で高所作業を伴う点検やお手入れは絶対に行わないでください。また、塗り替えや補修工事につきましてもお施主様ご自身で行わないでください。
1年に1回、地面から見上げて写真を撮っておく。それだけで、次に何社かに見てもらうときの材料になります。「去年はこう、今年はこう」と見せられる家は、話が具体的になります。
40年・15年という数字は、親水コートの話ではありません
ケイミューの外壁材でよく見る数字に注意が要ります。
- 「外壁のメンテナンスは40年後に」——これは光セラの説明で、しかも色40年品質の対象は光セラ18・フラットデザインパネル・レジェールのみと注記されています
- 「色15年保証」——これも光セラが、スーパーKMEWシールとセットの場合の話です
親水コートにこれらの数字は付いていません。営業の場面で「ケイミューだから40年もちます」と言われたら、「それは光セラの話ではありませんか」と確認してください。同じメーカーの外壁材でも、グレードで扱いがまったく違います(メーカー保証の読み方)。
光セラとの差は、1㎡あたり1,700〜1,900円ほどです
「光セラにしておけばよかったのか」と考えている方へ。金額の差は、メーカーが公開しています。
ケイミューは柄ごとに本体希望小売価格を出しています。都合のいいことに、同じ「エクセレージ」の15mm厚で、同じ柄名が親水15と光セラ15の両方にあります。板の厚みも柄も同じで、違うのはコーティングだけ。そこを並べたのが下の表です。
| 柄 | エクセレージ・親水15 | エクセレージ・光セラ15 | 差 |
|---|---|---|---|
| シルバスタイル15 | 5,181円/㎡ | 7,106円/㎡ | 1,925円 |
| バスティア | 5,181円/㎡ | 7,106円/㎡ | 1,925円 |
| シマンフラット | 5,181円/㎡ | 7,106円/㎡ | 1,925円 |
| プラシード15 | 5,181円/㎡ | 6,864円/㎡ | 1,683円 |
| スマッシュライン15 | 5,181円/㎡ | 6,864円/㎡ | 1,683円 |
いずれも税込・一般地域用。2026年9月9日にケイミュー公式の商品ページで確認。エクセレージ・親水15は22柄すべて5,181円/㎡(税抜4,710円/㎡)で同額でした。セラディール・親水パワーコート16は14柄すべて6,226円/㎡(税抜5,660円/㎡)です。
メーカーの注記も付いています。「掲載されている価格はメーカー希望小売価格です。工事費は含まれておりません。」実際にはここから割り引かれて仕入れられるので、この差額がそのまま見積書の差になるわけではありません。
それでも桁は見えます。外壁の面積が120㎡なら、材料の希望小売価格で20万円から23万円ほどの差。ケイミューの開発担当者も「光セラ > 親水パワーコート > 親水コート」のような価格順だと説明しています。
そして、いま親水コートの家に住んでいる方にとって大事なのはここからです。
前の章の表をもう一度見てください。親水16/15は塗り替えの帯が2本、光セラ16/15は1本です。新築のときに20万円ほど安く済ませて、そのかわり塗り替えが1回多い——という関係になっています。
ただし、この2つは釣り合っていません。30坪の家で外壁だけを塗ると、当サイトの目安で約100万〜130万円です。新築時に浮く20万円と、塗り替え1回100万円は、桁が違います。
だから、いまできることは買い直しの後悔ではなく、1回目の塗り替えで何を塗るかを決めることです。アクリルシリコンで塗れば、前の章の表と同じ間隔が目安になります。フッ素や無機で塗れば、その間隔は延びます。前の章のスケジュールが「アクリルシリコン塗料を使用した場合を想定」だったのは、そういう意味です。
何社かに現地を見てもらって、塗料のグレードを変えたときの金額と、次の塗り替えまでの年数をセットで出してもらってください。1回の金額だけを比べると、この判断はできません。
いま親水コートの家に住んでいる方が、確かめる順番
- ①汚れの種類を見分ける——黒っぽい筋=排気ガス・埃系/緑っぽい・白っぽい面=苔・藻・カビの可能性。後者は親水コートの守備範囲外です
- ②手の届く範囲を中性洗剤とスポンジで洗ってみる——落ちれば汚れ、落ちなければ別の原因
- ③目地のシーリングを見る——外壁材が何年もっても、シーリングのほうが先に切れます。ひび割れや肉やせが出ていれば、そちらが先
- ④窓サッシ下を見る——メーカーが「汚れが集中しやすい」と認めている場所です
- ⑤反りや浮きが無いか——サイディングが反るのは塗装では直りません
この5つのうち①②は自分でできます。③④⑤は見てもらったほうが確実です。何社かに現地を見てもらうときは、先に「ケイミューの親水コートです」と伝えてください。伝えたうえで、①〜⑤のどれが今の問題なのかを説明してもらう。説明が具体的な会社ほど、実際に見ています。
よくある質問
- 親水セラとは何ですか?
- ケイミューの窯業系サイディングに使われていたコーティングで、2009年から2017年で終売です(塗料メーカーの公表資料)。表層は無機系。いまケイミューが売っている「親水コート」は表層がアクリル系で、別のコーティングです。現行の製品はネオロック・親水16/エクセレージ・親水15・16・14/セラディール・親水14/フィルテクトN・E・親水16という形で並んでいます。
- 親水セラと親水コートは同じものですか?
- 同じではありません。塗料メーカーの一覧表では、親水セラ(無機系・2009〜2017年・終売)と親水コート(アクリル系・販売中)が別の行に置かれ、推奨される下塗り材も違います。ケイミュー自身も施工事例コンテストで「セラ(光セラ・親水セラ)部門」という枠を置いていて、親水セラを光セラと同じ「セラ」の側で扱っていました。
- 親水パワーコートとは何が違うのですか?
- 汚れを落とす力は同じです。ケイミューの「汚れを洗い流す」の説明文と注記は、親水コートと親水パワーコートで同じ文面です。違うのは色あせの側で、親水パワーコートには一部無機含有の「アクリルシリコンクリヤー塗装」があります。使われているのはセラディールの16mm厚と18mm厚です。
- 親水セラの耐用年数は何年ですか?
- メーカーは年数を書いていません。代わりに商品ごとのメンテナンススケジュール表を出していて、そこでは親水16/15は塗り替えの帯が2本(1本目は15年のあたり)、親水14は3本(1本目は10年のあたり)、光セラ16/15は1本(30年のあたり)という形で示されています。前提は「一般的なアクリルシリコン塗料を使用した場合」で、メーカーは「あくまでも目安です。内容を保証するものではありません」と注記しています。
- 光セラとの値段の差はいくらですか?
- 同じ柄・同じ厚みで比べると、1㎡あたり1,683円〜1,925円(税込)です。エクセレージ・親水15が5,181円/㎡、エクセレージ・光セラ15が6,864〜7,106円/㎡(2026年9月9日確認)。外壁120㎡なら20万〜23万円ほどの差になりますが、これは材料の希望小売価格で、工事費は含まれていません。
- 数字(14・15・16)は何ですか?
- 板の厚み(ミリ)です。厚いほうが彫りを深くできるため、見た目の立体感が変わります。「一般地域用」と「寒冷地域用」が分かれている製品もあります。
- カビや苔にも効きますか?
- 効きません。メーカーは「錆やカビ・苔・藻の発生に対しては十分な洗浄効果は発揮されません」と明記しています。効果を発揮するのは排気ガスや埃、砂塵に対してです。
- 光セラとの違いは?
- 光セラは「分解」+「洗い流す」の二段構え、親水コートは「洗い流す」だけです。光セラには色あせに強い・抗ウイルス抗菌・空気をキレイにするといった機能も公式に挙がっていますが、親水コートにはありません。
- 自分で洗ってもいいですか?
- メーカーは「中性洗剤とスポンジを使って水洗いすることでも汚れを落とすことが可能」と書いています。ただし高圧洗浄機は別で、板を傷めたり水が入ったりする恐れがあります。
- 窓の下だけ黒く汚れます。不良ですか?
- 不良ではありません。メーカー自身が「特に汚れが集中しやすい窓サッシ下」と書き、ツタワンD・ツタワンDU・ロングツタワンDという水切り部材の使用をすすめています。
- 「40年メンテナンス不要」と言われました。
- それは光セラの話です。しかも色40年品質の対象は光セラ18・フラットデザインパネル・レジェールのみと注記されています。親水コートにこの数字は付いていません。
- 塗り替えのとき、何を伝えればいいですか?
- 「外壁はケイミューです。資料には親水セラ(または親水コート)と書いてあります。建てたのは◯年です」——この3つで足ります。塗料メーカーは「外壁材の見た目でだけでは、難付着系塗膜かどうかの判別が困難です」と書いています。見て分からないものなので、資料の名前と築年数で伝えてください。複数社に同じことを伝えて、下塗りに何を使うと答えるかを比べると差が出ます。
参考にした情報
- ケイミュー公式「親水コート|外壁材」(カテゴリ名と製品ラインアップ=ネオロック・親水16、エクセレージ・親水15/16/14、セラディール・親水14、フィルテクトN・親水16、フィルテクトE・親水16、一般地域用/寒冷地域用の区分、1時間準耐火構造対応商品の表示)
- ケイミュー公式「汚れを洗い流す|親水コート」(親水基による洗浄のしくみ、防汚効果の対象=排気ガス・埃・砂塵、多量に供給される環境下の但し書き、錆・カビ・苔・藻には十分な効果を発揮しない旨、窓サッシ下とツタワンD等の推奨、中性洗剤とスポンジによる水洗い)
- ケイミュー公式「光セラ|外壁材」(汚れを分解/汚れを洗い流す/色あせに強い/ライフサイクルコスト/抗ウイルス・抗菌/空気をキレイに、色40年品質の対象商品の注記)
- ケイミュー公式「外壁材 性能・特長」(光セラはスーパーKMEWシールとセットで色15年保証の記載)
- ケイミュー公式「汚れを洗い流す|親水パワーコート」(しくみと注記が親水コートと同じ文面であること、現場仕上げ塗料=補修塗料には親水機能がない旨)
- ケイミュー公式「色あせしにくい|親水パワーコート」(一部無機含有のアクリルシリコンクリヤー塗装、促進耐候性試験=サンシャインウェザオメーター試験の記載)
- ケイミュー公式 SOTOMO「ケイミューの外壁材、どこが違う?選ぶポイントは?開発担当者に聞きました!【前編】」2024年5月23日(4層構造、3シリーズのグレードと価格順、雨が降らなければ汚れに対してアクションを起こさない旨、撥水と親水の使い分け、ダクト下の油分による筋汚れ)
- ケイミュー公式「維持管理(点検&メンテナンス)について(お施主様へ・重要書類)」PDF 4種(親水16/15=ネオロック16mm・エクセレージ16/15mm・フィルテクトN/E16mm、親水14=エクセレージ/セラディール14mm厚、親水パワーコート=セラディール、いずれも2025年2月現在/光セラ=2026年2月現在。メンテナンススケジュールの帯、耐用年数の考え方、アクリルシリコン塗料を前提とする旨、目安であり保証ではない旨、日常点検1回/年、高所作業の禁止)
- ケイミュー公式 商品詳細ページの本体希望小売価格(エクセレージ・親水15=22柄/エクセレージ・光セラ15=15柄/セラディール・親水パワーコート16=14柄。工事費を含まない旨の注記)
- ケイミュー公式「ケイミュー施行事例コンテスト2015|セラ(光セラ・親水セラ)部門賞」(エクセレージ・親水セラ15の採用例、部門名)
- ケイミュー公式 施設事例「色あせや汚れにくいサイディングに、和のテイストをあしらった個性豊かな佇まい」2016年7月初掲載(ネオロック・親水セラ=優れた耐候性で色あせしにくく、雨が汚れを洗い流す親水コートによる、という説明)
- 株式会社アステックペイント「問合せ多数!ケイミュー製外壁材に対する推奨下塗材を紹介」2024年10月8日・同社技術開発本部長 谷口智弘氏監修(コーティング材別の表層・発売時期・推奨下塗材・クリヤー仕様の一覧表、難付着系塗膜の定義、光触媒塗膜に一般的な下塗材を使った場合の剥離、見た目では判別が困難である旨)
最終確認日:2026年9月9日(製品ラインアップ・注記・価格・メンテナンススケジュール)/2026年8月30日(初回調査)。製品ラインアップと仕様は改訂されることがあります。下塗り材の推奨は塗料メーカー1社の見解で、他社は別の製品名になります。ご自宅の外壁材の特定と塗り替えの可否は、メーカーおよび施工会社にご確認ください。
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